Q1. 5月病とうつ病の違いは何ですか?
A1. 5月病は正式な病名ではありません。新入生や新入社員が入試や就職活動といった大きな目標を達成し終えた5月前後に、当面の目標を失い強いストレスから開放され喪失状態となり、無気力、感情喪失、やる気のなさのために閉じこもり、登校拒否、出社拒否が見られる状態です。ストレスの原因が人間関係、地震などとりまく環境問題などの精神的なものとある程度因果関係をもち発症する神経症圏のものです。
これに対し、うつ病(最近は「気分障害」としてより広くとらえられるようになりました。)は何らかの心身的な変化、例えば脳の代謝の変化などが中心となって起こってくる病的症状を言います。
神経症圏のものは、不安・焦燥が前景に、うつ病圏のものは抑うつ感情が前景にある、ということも言えます。
Q2. なぜ5月病、うつ病になるのでしょうか?
A2. 5月病のような神経症圏のものは主として、とりまいている環境の変化を含む精神的な原因によって起こり、内因性うつ病は、より心身的な原因・脳内物質の減少などの内的原因によって起こるとされています。初めての診察で「神経症圏のうつ状態」と「内因的なうつ状態」を診察するのは簡単ではありません。場合によっては、治療しながら慎重に経過を見ることが必要です。
「神経症圏のうつ病」は、精神的原因が軽くなると症状が軽減し、強まると症状が増強するという、原因の強さと症状の強さが平行関係にあり、不安や焦燥感が前面に出て不安を強く訴え、多弁な傾向を示します。
「内因性のうつ病」は症状の強さがあまり周囲の状況に影響されないという傾向がありますが、あくまでも一つのめやすです。
Q3. 発症のサイン(身体的・精神的な症状)はどんなものがありますか?
A3. 発症のサインとしては、
(1) 気分の低下(無気力、不安、いらいら、ゆううつ)、
(2) 意欲の低下(集中力の低下、決断力の低下、仕事の能率の低下)、
(3) 生理機能の低下(全身倦怠、不眠、食思不振、便秘など)
などが中心で、また、自己評価の低下、自分を価値のない存在とみなすという傾向にあります。この結果、人に会いたくない、電話にも出れぬなど対人恐怖、消えてしまいたいなどの自分を否定する感情となり、ひいては自分を傷つけたり、自殺に走ったりの行動に及ぶことがあります。症状は生活のリズムの変化として、不眠や食思不振に始まることが多く、これらの症状が2週間以上続く場合は要注意と考えられます。
Q4. 家族、会社での対処法は?
A4. 症状が単なる性格や本人の怠慢ではなく、病気の症状であることを理解することが前提です。自殺の危険などへの十分な配慮、家族と患者さんとの関係によって違ってくるでしょう。学生など一人暮らしの場合は大学カウンセラーなどへの早急な連絡、対応がが必要です。
病気が長引いている場合は、家族にも絶望感、欲求不満、怒りの感情が出てくるのは自然なことです。家族の友人関係などを広げ、そのストレスの発散の場を積極的に作るようにしましょう。
Q5. 効果的な予防法と解消法を教えてください。
A5. 神経症性のうつ状態は、心因となっている問題の解決が主となりますが、それを支えるリスニングを中心とした支持的精神療法が重要です。内因性のうつ病は十分な休養をとりながら薬物療法を主体にし、ポジティブ思考への思考習慣の改善を目標とした精神療法がすすめられます。
日ごろからのメンタルヘルスへの関心、自分の性格傾向や神経症やうつ病への理解、友人づくり、趣味などといった心のゆとりへの配慮が求められます。
うつ病は「神経症性のうつ病」でも「内因性のうつ病」でもきちんと治療をすれば必ず治る障害です。
気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。