ヘルスケアコラム

長寿の秘訣は有酸素運動と筋力向上運動と柔軟運動の3つをバランスよく続けること
運動・身体活動習慣のある・なしと死亡率の明確な関係
運動や身体活動を習慣的に行っている人といない人が、何年後かの将来に死亡する割合を調べた研究の成果が欧米を中心に多く発表されています。その多くは、運動・身体活動習慣を有する人は習慣のない人と比較して、明らかに死亡率が低いことを示しています。また、毎日のように休む暇もなく過酷な肉体労働に長年従事するような特殊な人々を除いて、運動や身体活動の量が多い人ほど死亡率が低いこともわかっています。さらに、脳卒中や心筋梗塞といったいわゆる生活習慣病による死亡だけでなく、がんによる死亡や事故、自殺などを含むすべての原因による死亡(総死亡)の割合も、運動・身体活動習慣の多い人が少ないことが明らかとなってきました。運動・身体活動習慣がもっとも少ない人々と比較して、もっとも多い人々では、3割から5割程度死亡リスクが低いことがわかっています。
問題は元気に活動的に暮らせる「健康寿命」をいかに延ばすか
「健康寿命」とは、私たち一人ひとりが生きている長さの中で、元気で活動的に暮らすことができる長さのことを言います。現在では、単に寿命の延伸だけでなく、この「健康寿命」をいかに延ばすかが重大な課題であり、特に生活習慣病の予防が大きな鍵となっています。日本人は平均余命(いわゆる寿命)だけでなく、健康寿命でも世界一の座を近年守っています。
運動・身体活動の面からこの点を考察してみると、スポーツや体力アップを目的とした、いわゆる運動の実施率は先進国の中ではあまり高くないことが知られています(30分の汗かき運動を週に2回以上行っている国民の割合は約30%)。その一方で、運動だけでなく通勤や買い物などの日常生活活動を加えた身体活動の量は多いほうです(歩数で1日あたり7,000~8,000歩で、アメリカの調査結果より1,000~2,000歩も多い)。したがって、日本人は仕事や家事に関わる日常生活活動が多いこと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが勤勉な国民性が長い健康寿命に一部貢献しているようです。
運動・身体活動の面からこの点を考察してみると、スポーツや体力アップを目的とした、いわゆる運動の実施率は先進国の中ではあまり高くないことが知られています(30分の汗かき運動を週に2回以上行っている国民の割合は約30%)。その一方で、運動だけでなく通勤や買い物などの日常生活活動を加えた身体活動の量は多いほうです(歩数で1日あたり7,000~8,000歩で、アメリカの調査結果より1,000~2,000歩も多い)。したがって、日本人は仕事や家事に関わる日常生活活動が多いこと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが勤勉な国民性が長い健康寿命に一部貢献しているようです。
身体活動量で1日1万歩程度 運動量で週に60~150分が適度
何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」というように、運動・身体活動も適度な量をこなすことと、マニアックに1つの運動にこだわらないことが重要です。量的には、身体活動量では歩数にして1日1万歩程度、運動量で週あたり60~150分といったところでしょうか。流行に流されてヨーガしかしないとか筋力トレーニングしかしないというよりも、さまざまな運動をトータルに行うことがおすすめです。
歩行や水泳などの有酸素運動、筋力トレーニングなどの筋力向上運動、ヨーガやストレッチングなどの柔軟運動の3つを、バランスよく行うことが大切です。有酸素運動は代謝を改善し生活習慣病の予防に、筋力向上運動は加齢による自立度の低下や介護の予防に、柔軟運動は痛みや傷害の予防や軽減に効果的であり、これらすべてが「健康寿命」を延長するために重要なのです(図1)。
歩行や水泳などの有酸素運動、筋力トレーニングなどの筋力向上運動、ヨーガやストレッチングなどの柔軟運動の3つを、バランスよく行うことが大切です。有酸素運動は代謝を改善し生活習慣病の予防に、筋力向上運動は加齢による自立度の低下や介護の予防に、柔軟運動は痛みや傷害の予防や軽減に効果的であり、これらすべてが「健康寿命」を延長するために重要なのです(図1)。

【引用・参考文献】
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画