ヘルスケアコラム
尿酸値の上昇は痛風だけでなく生活習慣病の前触れ

尿酸値が7.0mg/dLを超えたら痛風発作に気をつけよう

尿酸値が7.0mg/dL以上になると高尿酸血症と診断されます。この尿酸値検査は、美食や飲酒が習慣の人が痛風にならないように気をつける検査として有名でした。痛風は、関節(主として足の親指の付け根や足首)が一晩のうちに痛くて歩けないほど真っ赤に腫れる急性関節炎です。高尿酸血症はこの発作の前段階というレッテルを長く張られてきたわけですが、今や決して脇役ではありません。
1996年、日本の痛風に関する学会から、今後は尿酸値が高いことは痛風発作の前触れとだけ考えず、広く生活習慣病としてとらえようという勧告が出ました。その背景には、日本人の肥満が増加したことがあります。特に運動不足から内臓に脂肪がたまると高脂血症、糖尿病、高血圧症を併発していき、動脈硬化から虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)や脳血管疾患(脳梗塞)などを引き起こします。今後は日本人の死因のトップがこの心血管疾患となるだろうと危惧されているのです。

内臓に脂肪がたまると尿酸値も上昇する

やせていて、たいしてお酒も飲まないのに痛風になる人がいます。そういう人は、古くからある痛風体質なので、尿酸値が高くなったら薬で治療するのが一番良いでしょう。
これと異なり、内臓に脂肪がたまりメタボリックシンドロームになりやすい人、またはなった人たちは、知らない間に尿酸値も上昇していることが多いです。内臓に脂肪がたまると、肝臓で尿酸の合成が増加するので、尿酸値の上昇は内臓脂肪のたまり始めの信号でもあるわけです。このように、尿酸値はメタボリックシンドロームが迫っている、あるいはそうなってしまったという危険を知らせる目印(マーカー)検査とも言えます。
最近尿酸値が増え、おなかまわりもきつくなっていたら、あなたはメタボリックシンドロームの危険があります。早めに運動不足を解消するように努め、カロリーオーバーにも気をつけましょう。

自分の尿酸値を知って対策を立ててみよう

図1の自己診断チャートに従って自分で尿酸値をチェックしてみてください。
図2は『肥満症治療ガイドライン2006年版』(日本肥満学会)に記載されている図をわかりやすく整理したものです。各自の尿酸値に合わせた対策を見て実践してみてください。2008年から国の指導で特定健診が実施されます。この健診項目に将来的には尿酸値を加えることも検討されています。今後は尿酸値に関心を持って健康管理をしていきましょう。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画