ヘルスケアコラム
たんぱく質やビタミン・ミネラルの十分な摂取が健康長寿に寄与

食生活の改善により骨粗しょう症や認知症を予防

日本人の平均寿命は戦後50年間に約20年延び、男性79歳、女性85歳で、世界のなかでも最長寿国となりました。現在では少子化もあって超高齢社会を迎えようとしています。
死亡原因は、悪性新生物(がん)、心疾患(高血圧を除く)、脳血管疾患などの生活習慣病と肺炎などの感染症に大別されます(図1)。生活習慣病は、食事や運動などの生活習慣に主な原因があり、食生活の改善が生活習慣病予防の大きなカギになると考えられています。また、高齢期に低下する生体防御能(免疫能)の維持や、高齢者の要介護の要因となる骨粗しょう症、認知症などの病気の予防にも、適切な食事の摂取が重要であることが指摘されています。
このように高齢者が生活習慣病や感染症にかからないように、またQOL(Quality of Life:生活の質)を維持しながら元気に過ごすためには、日ごろの食生活が重要になります。

「百寿調査」からわかる健康的な食生活の重要性

実際に食事が長寿にどのように関係しているかについて世界的に研究が行われ、食事と長寿との関連が明らかにされてきました。
日本では慶應義塾大学老年内科の廣瀬信義博士らによって「百寿調査」が行われました。その調査報告によれば、遺伝的・器質的要因以外にも寿命を左右する要因として健康的な食生活習慣を提示し、①カロリーをとりすぎない、②たんぱく質の不足に注意、③必要なビタミン・ミネラルなどの栄養の摂取、④飲酒量の良好な管理の4つが挙げられています(図2)。これにより、高齢者における食生活が長寿を全うするために重要であることが示されました。

アルコールのとりすぎは高血圧やがんのリスクを上げる

では、いったい何をどのように食べれば、長寿で健康に暮らせるのでしょうか?
生活習慣病を予防しながら私たちが健やかに生活・活動するためには、毎日の活動内容に見合った栄養を適切に摂取することが第一になります。高齢期には消化・吸収効率が低下するため、また食べる量が減ってくるために十分な栄養を摂取できない場合があります。特にたんぱく質はからだのもとになりますので十分な量を確保することが必要ですが、カロリーのとりすぎは肥満につながります。どの食材からたんぱく質を摂取するかが重要なポイントです。ビタミンやミネラルも十分にとりましょう。
そのうえで、アンチエイジング効果のある抗酸化成分を含む食品を適度に摂取していくことが、健康長寿には有効です。また、アルコールのとりすぎは高血圧やがんなどの生活習慣病のリスクを上げるので、適量を守りましょう。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画