ヘルスケアコラム

やせ願望からの過剰ダイエットに起因。若い女性に多く病気の認識なし!
やせているのに太っていると強く思い込む
「モデルのようにきれいになりたい」という願望を持つ若い女性が増加しています。ダイエットに関する情報や食品が氾濫(はんらん)し、やせていることが賞賛される現代であれば、いたって自然な感情とも言えます。しかし、過剰なダイエットの果てに危険な心の病にかかることがあります。これが「拒食症(神経性無食欲症)」で、若い女性のかかりやすい、また治りにくい心の病気として社会的に大きな問題となっています。若い女性の100人に1人は拒食症であると推測されています。
一度、拒食症になってしまうと、やせているにもかかわらず、さらにやせたいと考え、太ることに強い恐怖心を抱きます。周りの心配をよそに、ボディイメーシのゆがみ(図1)のため、食事をほとんどとらなくなります。食事の好みも変わり、肉や魚を避けて野菜などが中心となっていくことが多いようです。自分は病気であるとの認識はほとんどなく、やせていても健康だと感じており、むしろ活動的に運動をする傾向が強くなるのが特徴です。
一度、拒食症になってしまうと、やせているにもかかわらず、さらにやせたいと考え、太ることに強い恐怖心を抱きます。周りの心配をよそに、ボディイメーシのゆがみ(図1)のため、食事をほとんどとらなくなります。食事の好みも変わり、肉や魚を避けて野菜などが中心となっていくことが多いようです。自分は病気であるとの認識はほとんどなく、やせていても健康だと感じており、むしろ活動的に運動をする傾向が強くなるのが特徴です。
全身にわたって異常が発生最悪、死に至ることも!
拒食症で初診に来る患者の体重は30kg台が多いようですが、20kg台まで低下していることも珍しくありません。ここまで体重が落ちてくると、身体的な異常は全身にわたって認められるようになります(図2)。ホルモンのバランスが崩れ、生理が止まり、低体温、低血圧、脱毛が認められ、とても寒がりになります。また、栄養状態の悪化と脱水のため、肝臓と腎臓の機能が障害を受けます。
極端な低体重の患者の場合には筋力が低下し、ベッドから自力で起き上がることも困難になります。最悪の場合、不整脈などで死に至ることもあり、死亡率は5%程度と考えられています。
拒食症を予防するうえでもっとも重要なことは、過剰なダイエットを避けることです。3カ月で10kgもやせるようなダイエットは好ましくありません。
極端な低体重の患者の場合には筋力が低下し、ベッドから自力で起き上がることも困難になります。最悪の場合、不整脈などで死に至ることもあり、死亡率は5%程度と考えられています。
拒食症を予防するうえでもっとも重要なことは、過剰なダイエットを避けることです。3カ月で10kgもやせるようなダイエットは好ましくありません。
周囲の人が早く気づいて医療機関への受診を促そう
拒食症の患者は病気であるとの認識がないため、治療は容易ではありません。ある程度進行した拒食症では、両親が「もっと食べなさい」といくら注意しても効果はなく、むしろかたくなに食べなくなります。周囲が患者の体型や食事の変化に気づき、できるだけ早期に医療機関への受診につなげてあげることが改善への近道となるでしょう。
心療内科や精神科では、カウンセリング的な対応のほか、徐々に好ましい食行動への変容を促していく行動療法などで治療していきます。
心療内科や精神科では、カウンセリング的な対応のほか、徐々に好ましい食行動への変容を促していく行動療法などで治療していきます。

【引用・参考文献】
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画