ヘルスケアコラム
骨や歯、酵素やホルモン、血液の成分として生命維持に不可欠

自然に近い食品から偏りのないミネラル摂取

ミネラル(無機質)は、骨や歯などのからだの構成成分、酵素やホルモンの働きに欠かせない微量成分として、また血液のヘモグロビンや体液の電解質などの機能的成分として生命維持のために働きます。しかし、体内では合成できないため、消耗した分を食事から補わなければなりません。本来、自然界の動植物には多くのミネラルが含まれており、それらをいろいろ食べている限り、ミネラル不足は問題にならないでしょう。
しかし現代では、おいしさや食べやすさ、簡便さのために、食品は精製や加工され、もともと含まれていたミネラルや微量元素が抜けてしまい、ミネラル不足が起こりやすくなっています。逆に、加工の際の食品添加物また鉱工業汚染※や偏った食品、サプリメントばかりをとることにより過剰症が起こることもあります。

ミネラルはバランスが大切。不足はもちろん、とりすぎも問題

いったい何種類のミネラルが必要なのか、まだ明確には把握されていませんが、摂取すべき基準が決められているのは13種類です(表1)。不足はもちろん、とりすぎも問題となりますから注意しなければなりません。体内のミネラル量は、ミネラル間でバランスを保ちながら、腸での吸収と腎臓での排泄により調整されます。
たとえば、ナトリウム(食塩)をとりすぎると、ナトリウムと一緒にカリウムやカルシウムも腎臓から捨てられます。そのため、高血圧の人はナトリウムを控えるだけでなく、カリウムやカルシウムの多い食品をとることがナトリウムを排泄させる秘訣となります。

カルシウムを筆頭に鉄やマグネシウム、カリウムが不足

日本人にもっとも不足しているのはカルシウムです。続いて鉄、マグネシウム、亜鉛、カリウムも不足気味です。カルシウム不足は骨粗しょう症、鉄不足は貧血やスタミナ不足、マグネシウム不足は心臓病や糖尿病、亜鉛不足は味覚異常などと関係する可能性があります。
一方、ナトリウムは外食や加工食品に大量に添加されていることが多く、高血圧予防のためには減塩だけでなく、カリウムをもっととることも心がけなければいけません。また、サプリメントや偏った食品ばかりに依存していると、ミネラルのバランスが崩れ、過剰症や思わぬ欠乏症が起こる可能性もあります。加工や精製の少ない自然のさまざまな食品から、偏りなくミネラルをとることをおすすめします(図1)。

※鉱工業汚染:鉱工業による排水、廃棄物で海・川・土壌などが汚染され、魚介類や農作物に過剰なミネラルの蓄積が見られる。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画