ヘルスケアコラム
コレステロール低下作用からがん予防まで多様な効果あり!

茶は養生の仙薬にしてサプリメントの元祖

鎌倉時代の栄西禅師により著された『喫茶養生記』には「茶は養生の仙薬なり、延命の妙術なり」と記されています。茶のからだへの効能について、わが国で初めて述べられた文献です。これはまさにサプリメントの元祖と言えるでしょう。そして、安土桃山時代には千利休により茶の精神調節機能が見いだされ、応用されて「茶道」という文化の域まで高められました。
茶には紅茶、ウーロン茶、緑茶などがありますが、なかでも緑茶はサプリメントの出世頭です(図1)。現在、日常飲用されている茶は、そのサプリメント効果の科学的根拠が明らかにされ、「進化する茶」として登場してきています。

抗酸化力を持つカテキンのほかビタミン、ミネラルが豊富

近年、緑茶に含まれる成分の詳細が明らかになってきました(図2)。カフェインをはじめ、渋みのタンニンと言われるものにはカテキン類であるエピカテキン、エピガロカテキンなどの種類があり、抗酸化力を発揮すること、また各種フラボノイドや甘味成分としてのテアニン、ビタミン、ミネラルも多く含まれていることがわかってきました。
これらの成分を特化・強化したお茶も市販されています。

抗酸化力を持つカテキンのほかビタミン、ミネラルが豊富

成分がわかると、時を同じくして疫学(えきがく)調査から動物実験、臨床治験などで以下のような茶の効果が明らかになってきました(図3)。
(1)コレステロールの低下作用
コレステロールの上昇抑制作用とともに、善玉コレステロールの上昇作用のあることがわかってきました。
(2)マクロファージの泡沫(ほうまつ)化抑制作用
茶カテキンが善玉コレステロールの酸化を抑えることにより、動脈硬化のもとになるマクロファージの泡沫化を抑制させます。
(3)メタボリックシンドロームの防止
高濃度のカテキン摂取を12週間行うと内臓脂肪の減少が生じることが報告されています。
(4)抗菌作用
ピロリ菌、O-157に対する抗菌作用が報告されています。また、抗ウイルス作用もあり、かぜの予防にお茶でのうがいは効果的です。
(5)がんの予防
茶の飲用の多い静岡県の人にはがんが少ないことが調査で明らかとなっており、特に胃がんが少ないことが報告されています。
(6)歯周病に対する効果
歯垢(しこう)の形成を抑制します。
(7)テアニンのリラックス効果
α波の出現が多くなり、リラックス効果が得られます。末梢循環も良くなります。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画