ヘルスケアコラム
時期が来れば自然に良くなるので、焦らないで温かく見守って

男の子に多い話し言葉の遅い子小学校入学のころには正常に

親の言っていることは理解していて、同年代の子どもとも仲良く遊べるのに、なぜか言葉をしゃべることができない子どもがいます。男の子に多く、3、4歳くらいから急激に言葉をしゃべるようになり、小学校に入学するころにはほとんど目立たなくなります。
たいていの親はしゃべってほしいために絵本を一生懸命読み聞かせたりします。読み書きは習わなければ身につきませんが、しゃべることは基本的に脳にプログラミングされていて、ある時期が来ればしゃべれるようになります。逆に、子どもにとってはその時期が来なければしゃべれるようになりませんから、そうした母親の努力は子どもには苦痛なだけかもしれません。

言葉が理解できているかどうかが判断のポイント

言葉の理解が良ければ、特別な努力をしないで、しゃべるのを待っていればいいのです。理解の目安は次のとおりです。
(1)2歳:身体部位の識別や簡単な指示の理解。指さしができている
(2)3歳:大小や長短、色の理解
(3)4歳:数の概念の理解
これらの理解が遅い子どもではただ言葉が遅いだけでなく、精神遅滞(知的発達の遅れ)や広汎性発達障害の可能性があるので、かかりつけの小児科医に相談したほうがよいでしょう。なお、自治体が運営する言葉の教室では、言葉の遅い子どもに楽しく遊びながら言葉を投げかけます。母親の負担の軽減にもなるので利用するとよいでしょう。

幼児期の5%に見られる吃音親が気にかけるほど悪くなる

吃音(きつおん)とは、話しはじめるときに言葉がなかなか出ず、音が出ても同じ音を繰り返して流暢(りゅうちょう)にしゃべれない状態を指します。男の子に多く、幼児期は5%ほどに見られます。プレッシャーがかかるとひどくなりますが、歌を歌ったり動物に話しかけたりするときは吃音が目立たなくなる傾向があります。
幼児期には吃音を気にしないことが重要です。幼児期に吃音を治す方法はありませんし、 8割以上は何もしないでも自然になくなります。吃音を治そうと注意すると、それがプレッシャーになってかえってひどくなります。相談機関に連れ回すようなことも好ましくありません。
10歳以降も吃音が続くようであれば、周りがプレッシャーをかけなくても本人の悩みは深くなりますから、言葉の治療教室などで相談したらよいでしょう。ただし、治療法は人それぞれですから、子どもに合わないと思ったらやめることも大切です。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画