ヘルスケアコラム
プライドを守るため自分の世界に親は最大の理解者になろう

初期段階で施設などに連れ回すとかえって悪化することも

ひきこもりとは診断名(病名)ではありませんし、ひきこもるまでの過程は多様です。しかし、ひきこもってからしばらくすると同じような経過をたどり、人数も100万人以上とも言われるため、1つの病気のように扱われることが多くなりました。
ひきこもりを恐れるあまり、不登校の初期状況から医療機関や相談機関、不登校の受け入れ施設に連れ回したがために、かえって病的なひきこもりに発展することがあります。ひきこもり状態をすべて悪いと誤解しないようにしてください。

対人恐怖や被害妄想、家庭内暴力などが見られる

ひきこもりの本質はプライドを守るということに尽きます。ひきこもれば対人関係で失敗することはありません。しかし、ひきこもることによって、さまざまなストレスや挫折感を持つことも確かです。
ひきこもる子どもたちには対人恐怖、被害妄想、強迫症状、過度の甘えと家庭内暴力、昼夜逆転などが多く見られます。また、家庭にひきこもりを許す経済的な余裕や基盤があり、ほとんどの両親がひきこもりに関して理解していないことも特徴と言えます。逆に言えば、子どもがなぜひきこもるのかを両親が理解していれば、長期間にわたるひきこもりは回避できるのかもしれません。

叱咤激励、説得は無意味!親子関係の修復が先決

本人はひきこもったままではいけないことを両親以上に感じています。親がまずするべきことは、ひきこもっている状態から脱したいと子どもが切望していることを理解することです。親は、いくつになっても子どもは子どもと考えるようですが、ひきこもりを脱するための一番の理解者になることが重要です。そのためにも、子どもの将来や同級生、学校についての話題を徹底的に避けることです。叱咤激励、説得はまず無意味であることを肝に銘じなければいけません。ある程度親子関係が修復できなければ、冷静に話し合うことは不可能であることも理解しましょう。
あまり居心地がよいと、ひきこもりがさらに長期化すると心配されますが、そんなことはありません。なぜなら、いい年をして親に面倒をみてもらって心地よいわけがないからです。
外に出られるようになったら、まず小さなやさしく温かい集団に参加するようにして、本人が自信を持てるようにすることが大切です。ひきこもりから社会に適応するまでは非常に時間がかかるので、焦らないために家族以外にも同伴してくれるような存在が必要でしょう。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画