ヘルスケアコラム
ホルモン補充は医師と相談してなるべく天然型のホルモンで

ホルモン補充はまずDHEAやメラトニンから

最近のアンチエイジング分野で行われているホルモン補充療法は、副作用の少ないDHEA(ジヒドロエピアンドロステロン)やメラトニンをまず使用し、その人の症状やニーズに合わせて女性ホルモン(エストロゲン十プロゲステロン)、男性ホルモン(テストステロン)を加えていくというのが一般的です。
DHEAは副腎という臓器から分泌されるステロイドホルモンの1つで、細胞や組織をつくり維持する重要なホルモンで、一部は男性ホルモンや女性ホルモンにも変換されます。DHEAは抗酸化作用、免疫機能の強化、脳や心血管の保護作用など優れた抗老化作用がありますが、50代で20代の約3分の1にまで低下してしまいます。副作用としては、にきび、ふきでものなどのほかには重篤なものはないとされていますが、長期的に見たデータはまだないため、専門医のもとで、検査を行いながら使用することをおすすめします(表1)。
メラトニンはわたしたちの睡眠をコントロールする働きを担い、生理的に日が暮れると分泌が盛んになり、日が昇ると急速に低下する日内変動を持っており、分泌量は1~10歳をピークに20歳ころまで急減し、50歳以降では10代の10分の1以下になってしまいます(図1)。メラトニンは睡眠リズムの調整、睡眠の質の向上のほか、活性酸素の消去、免疫の増強、成長ホルモン分泌の増加、血中コレステロールの低下などアンチエイジングに欠かせない作用をあわせ持っています。副作用はほとんどありませんが、多量に摂取するとアレルギー増強、性的能力の低下などがあるとされています(表2)。

更年期障害改善のための性ホルモン補充療法

更年期症状の改善のためには、男性・女性とも性ホルモンが速効性もあり有用ですが、経口の合成型のホルモン※を用いると副作用が多く、発がんなどの危険性が高くなると考えられています。一方、天然型のホルモン※では副作用も、発がんの危険性も少ないのですが、エストロゲンの貼付剤を除き、わが国では一般に使用できません(医師の処方指示があればアメリカなどから輸入して使用が可能ですが、自費診療。DHEA、メラトニンも同様です。表3、4、5)。

アンチエイジング・ドックや専門外来の利用

最近、何かからだの不調があり、病院で検査しても「異常がない」と言われた方、「年のせいですね」と言われた方は、一度アンチエイジング・ドックや専門外来を受診してみてはいかがでしょうか? ホルモンバランスをチェックして、適正なホルモン補充を行えば、元気なからだや心が取り戻せ、老化予防にもつながります。
※天然型ホルモンと合成ホルモン:天然型ホルモンとは、人体自身がつくっているからだのホルモンと構造的、化学的に非常に類似もしくは同一のもので、人体がつくるホルモンと同等の働きをし、適切に使用すれば副作用を起こすことはないとされている。これに対して合成ホルモンは天然型ホルモンの一部の化学分子の構造を変えているもので、ホルモン様作用は示すが、人体にとっては異物であり、副作用を起こす原因になっていると考えられる。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画