ヘルスケアコラム

骨を壊す作用を妨げて骨量増加に導く薬の服用が治療の基本
骨量の減少や骨質の低下による骨折をどの程度予防できるか?
骨粗しょう症は、骨量の減少や骨質の低下によって骨が折れやすくなった病気です。骨粗しょう症治療の目的は骨折の予防ですから、薬の効果も骨折予防で評価されています。もっとも、骨量増加や血液・尿検査(骨代謝マーカー)も薬の効果判定に使うことができますが、骨折予防効果が確かめられなければ、骨粗しょう症の薬として残っていけません。
骨粗しょう症の薬物療法を含めて、予防と治療の全般に関する情報は『骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2006年版』(日本骨粗しょう症学会)という形でまとめられています。
骨粗しょう症の薬物療法を含めて、予防と治療の全般に関する情報は『骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2006年版』(日本骨粗しょう症学会)という形でまとめられています。
骨折リスクをできるだけ正確に把握することが先決
骨粗しょう症治療の目的は骨折を予防することですから、骨折が発症する前に個々人が持つ骨折リスクをできるだけ正確に把握する必要があります。ただし、骨折が発症していない段階ではなんら自他覚症状もないため、もっとも重要な骨量測定値、すなわち、これまでにささいなことで骨折をしたかどうかという点を参考にして診断を進めることが重要です。
さらに最近は、過度の飲酒、現在の喫煙、大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折の家族歴(両親のいずれかに既往歴)といった要素も骨折の危険性を増すものとして注目されています。
さらに最近は、過度の飲酒、現在の喫煙、大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ)骨折の家族歴(両親のいずれかに既往歴)といった要素も骨折の危険性を増すものとして注目されています。
骨折予防効果を示す半面、胸やけやほてりなどの副作用も
現在の骨粗しょう症治療薬として第1に考えられるものは骨吸収阻害剤(ビスホスホネート製剤やSERM)です。骨では、骨をつくる作用(骨形成)と壊す作用(骨吸収)が絶え間なく進行していますが(図1)、この骨吸収を阻害することによって、結果的に骨量を増加させて骨を強くする薬です。これらの薬については、骨折予防効果を示す臨床データが量・質ともに充実しています。一方、副作用としてはビスホスホネート製剤における胸やけや嘔気などの消化器症状、SERM(selective estrogen receptor modulator=選択的エストロゲン受容体作動薬)における血管系症状(ほてりなど)があります。
骨吸収阻害剤以外にも活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、カルシトニン製剤(筋肉注射)なども用いられます(表1)。
骨吸収阻害剤以外にも活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、カルシトニン製剤(筋肉注射)なども用いられます(表1)。
X線写真とDXA測定法で定期的に経過観察
治療効果は「骨折が予防できたこと」ですから、手足の骨折発症について確かめるとともに、脊椎X線写真の撮影を定期的(たとえば1年ごと)に行っていくことが必要です。
骨量測定で経過を見る場合は腰椎や大腿骨頸部のDXA(dual-energy X-ray absorptiometry=二重エネルギーX線測定装置)による測定が有用ですが、残念ながら末梢骨の測定では骨量増加を検出できないことがあります。骨吸収阻害剤を利用する場合は骨代謝回転マーカー(尿や血清中のNTXやCTX[骨吸収の際に生じる(Ⅰ)型コラーゲンの分解産物]など)の測定が有効です。
骨量測定で経過を見る場合は腰椎や大腿骨頸部のDXA(dual-energy X-ray absorptiometry=二重エネルギーX線測定装置)による測定が有用ですが、残念ながら末梢骨の測定では骨量増加を検出できないことがあります。骨吸収阻害剤を利用する場合は骨代謝回転マーカー(尿や血清中のNTXやCTX[骨吸収の際に生じる(Ⅰ)型コラーゲンの分解産物]など)の測定が有効です。

【引用・参考文献】
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画