ヘルスケアコラム
森林の香りや色彩、清浄な空気が気分の安定や健康の増進を促す

自然の中で生活をしてきた人類の記憶が心を落ち着かせる

都会の生活を離れて山や森を散策したり、キャンプ生活などをするとストレスから解放され、のびのびした快適な気分になることは多くの人が経験しています。
快適になる理由として森林浴効果が挙げられます。森林の香り、空気の清浄さ、森林の色彩、森林内の景観などが気分を安定させるのです。人は誕生してから約500万年の間、その99%以上の期間を自然環境下で生活してきました。人間の生理機能は自然環境に合うようにつくられてきたわけですから、森林に触れることで安心した気持ちになれるのは本能的なことなのです。

森林浴から医療リハビリまで森林セラピーは多種多様

最近では、森林の効用を活用した森林セラピーが注目されています。
森林セラピーとは、森林浴を代表とした森林レクリエーションをはじめとして、樹木を活用した作業療法、森林内を歩きながらのカウンセリング、グループワーク、地形や空間を利用した医療リハビリテーション、幼児教育、林産物を利用したアロマセラピーなど、森林環境を総合的に利用しながら健康を増進させていくことです。

自然を五感で体感する心地よさを存分に

目、耳、鼻、皮膚、舌など五感で体感することが森林浴のセラピー効果となります。
[視覚] 木々と葉の色のコントラスト、深緑や紅葉の鮮やかさ、木漏れ日などの光や明るさなど。
[聴覚] 小川のせせらぎ、鳥の声、虫の声、葉が揺れる音、枯れ葉を踏みしめる音、静けさなど。
[嗅覚] 草木のにおい、土のにおいなど。
[触覚] 木漏れ日の温かさ、木の感触、川の水の冷たさなど。
[味覚] 湧き水の甘さ、山菜など。
それぞれの体感は個人差がありますし、体験の回数や季節、体調によっても違いが生じます。しかし、直感的に“森林の心地よさ”を感じることは、近くに森林があれば一番よいのですが、都会に住んでいても公園や街路樹でもセラピー効果を得ることはできます。気分転換に近所の緑を求めて散歩に出かけてみましょう。今まで気づかなかった自然を見つけられるかもしれません。ストレス解消法あるいはリフレッシュ法として大いに役立ちます(図1)。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画