ヘルスケアコラム

眼の疾患はもちろん全身疾患の診断にも役立つ
網膜と視神経乳頭に異常を来す疾患を見つける
「検眼鏡で見ることができる眼球内部」を眼底(がんてい)と言います。正常な眼底で見えるものには主に網膜と視神経乳頭があります。
眼底の模式図を図1に示します。網膜はカメラのフィルムと同様の役割をする神経の膜です。その網膜の神経線維が集まって、眼球壁を貫いて眼球外へ出ていく部位を視神経乳頭と言います。したがって、眼底検査ではこれらに異常を来す疾患を見つけることができます。
眼底の模式図を図1に示します。網膜はカメラのフィルムと同様の役割をする神経の膜です。その網膜の神経線維が集まって、眼球壁を貫いて眼球外へ出ていく部位を視神経乳頭と言います。したがって、眼底検査ではこれらに異常を来す疾患を見つけることができます。
手遅れにならないように定期的な眼底検査を
組織学的に10層から成る網膜は内側の9層が半透明の膜であるため、人体の中で唯一血管をじかに観察することが可能な組織です。したがって、眼底の動脈硬化や血管炎などの所見は眼の疾患に限らず、循環器や膠原(こうげん)病などの全身疾患の診断にも役立ちます。
網膜の疾患の主なものを表1に示します。これらは網膜疾患のほんの一部に過ぎませんが、疾患のなかには網膜中心動脈閉塞症や網膜剥離(もうまくはくり)など緊急もしくは至急の治療を要する疾患が多く含まれます。原則的には急激な視力低下および視野障害を伴う疾患は要注意となりますが、網膜の疾患は網膜の中心部分である黄斑(おうはん)部と呼ばれる部分以外が障害されている場合は自覚症状に乏しく、放置されることが多くあります。症状が出現したときには病状が進行しており、場合によっては手遅れに近い状態で発見されることも珍しくありません。
虫が飛んでいるように感じる飛蚊症(ひぶんしょう)や、物がゆがんで見える変視症などの症状のある人も早めに眼底検査を受ける必要があります。また、眼底検査で必ずしも糖尿病や高血圧症の診断ができるわけではありませんが、既往歴(きおうれき)がある人は、定期的な眼底検査を受けることが大切です。
網膜の疾患の主なものを表1に示します。これらは網膜疾患のほんの一部に過ぎませんが、疾患のなかには網膜中心動脈閉塞症や網膜剥離(もうまくはくり)など緊急もしくは至急の治療を要する疾患が多く含まれます。原則的には急激な視力低下および視野障害を伴う疾患は要注意となりますが、網膜の疾患は網膜の中心部分である黄斑(おうはん)部と呼ばれる部分以外が障害されている場合は自覚症状に乏しく、放置されることが多くあります。症状が出現したときには病状が進行しており、場合によっては手遅れに近い状態で発見されることも珍しくありません。
虫が飛んでいるように感じる飛蚊症(ひぶんしょう)や、物がゆがんで見える変視症などの症状のある人も早めに眼底検査を受ける必要があります。また、眼底検査で必ずしも糖尿病や高血圧症の診断ができるわけではありませんが、既往歴(きおうれき)がある人は、定期的な眼底検査を受けることが大切です。
正常眼圧緑内障を視神経乳頭の陥没(かんぼつ)所見で発見!
正常の視神経乳頭は、眼底中央のやや鼻側にオレンジ色の少し縦長の円形の部位として観察できます。視神経乳頭の異常所見には発赤、蒼白などの色調の異常と腫脹(しゅちょう)、陥没(陥凹(かんおう))など形状の異常があります。
視神経乳頭の異常を来す主な疾患を表2に示します。眼疾患として頻度的にもっとも重要な疾患は慢性緑内障です。慢性緑内障の初期は自覚症状に乏しく、特に日本人に多い正常眼圧緑内障は眼圧測定だけでは見落とされてしまいます。視神経乳頭の陥没所見で発見される場合がほとんどです。また、眼の疾患以外ではうっ血乳頭と呼ばれる視神経乳頭の腫脹(浮腫(ふしゅ))が重要となります。これは頭蓋(ずがい)内圧の亢進(こうしん)時に認められる所見であり、うっ血乳頭から脳腫瘍などの頭蓋内疾患が発見される場合も少なくありません。
視神経乳頭の異常を来す主な疾患を表2に示します。眼疾患として頻度的にもっとも重要な疾患は慢性緑内障です。慢性緑内障の初期は自覚症状に乏しく、特に日本人に多い正常眼圧緑内障は眼圧測定だけでは見落とされてしまいます。視神経乳頭の陥没所見で発見される場合がほとんどです。また、眼の疾患以外ではうっ血乳頭と呼ばれる視神経乳頭の腫脹(浮腫(ふしゅ))が重要となります。これは頭蓋(ずがい)内圧の亢進(こうしん)時に認められる所見であり、うっ血乳頭から脳腫瘍などの頭蓋内疾患が発見される場合も少なくありません。

【引用・参考文献】
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画