ヘルスケアコラム
努力義務がある定期接種と必要に応じて受ける任意接種

病原体への抵抗力を獲得 定期のワクチン接種は7種類

予防接種は伝染性疾患の流行を防ぐ目的で、ワクチン※などを接種して病原菌やウイルスに対する抵抗力(免疫能)を獲得させるために実施されます。予防接種には予防接種法によって接種の努力義務が課せられている定期接種と必要に応じて任意に接種を受ける任意接種とがあります。
現在、定期接種されているワクチンは、結核(BCG)、ポリオ、麻疹(ましん)・風疹混合(MR)、麻疹(はしか)、風疹、ジフテリア・百日咳(ひゃくにちぜき)・破傷風(三種混合DPT/二種混合DT)、日本脳炎の7種類があり、65歳以上と、60歳以上65歳未満で心臓、腎臓または呼吸器に大きな病気を患っている人などリスクの高い人に対して、インフルエンザワクチンの接種が行われています。全年齢で任意の接種を受けることも可能です。

予防接種をすれば100%安心?怖い副反応などはないの?

予防接種はもちろんその有効性が実証されていますが、残念ながら100%というわけにはいきません。まれにうまく抵抗力がつかないケースもあります。抵抗力がついたかどうかは抗体価を測定してもらうとわかるものもあります。また、どのワクチンにも頻度は低いものの副反応が生じる可能性はあります。ただ、過去にも副反応を心配して接種率が減少すると、罹患率が上昇する事例が見られます。
一般的な副反応としては、接種局所の発赤、熱感、痛み、かゆみなど、全身反応では発疹やじん麻疹、発熱、ショックなどが起こることもあり、多くは接種後48時間くらいまでに発生します。また、生ワクチンでは1~3週間程度たってから、もとの病気に似た症状が起こることもあります。予防接種後に局所の異常反応や、体調の変化があった場合には、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

ワクチンのタイプによって接種間隔も異なる

ワクチンには毒性を弱めた生きた病原体(細菌やウイルス)を用いる生ワクチン、死んだ病原体を用いる死菌あるいは不活化ワクチン、病原体の毒素を取り出して毒性をなくしたものを用いるトキソイドなどがあります。ワクチンのタイプによって可能な接種間隔が異なります。
接種間隔はワクチン接種後に生じる反応によって、次に接種したワクチンの効果が弱まることがあるなどの理由で決められています。生ワクチン接種後は27日以上、不活化ワクチンまたはトキソイド接種後は6日以上間隔をおいてから次の接種を行います。生ワクチン接種後は体に強い反応が生じて、間隔を長く置かないと次のワクチンの効果が弱まってしまうことがあるため、接種間隔を長く取る必要があります。

※細菌性髄膜炎ワクチン●細菌性髄膜炎は予後が比較的良好なウイルス感染による無菌性髄膜炎と区別され、発症すればきわめて致死率が高く、救命できても重い後遺症を残すこともある、特に乳幼児では危険な感染症である。5歳未満の乳幼児2,000人に1人が発症すると言われている。乳幼児の細菌性髄膜炎の原因としてもっとも多いのがインフルエンザ菌である。これはインフルエンザウイルスによって引き起こされる、いわゆるインフルエンザとは無関係である。インフルエンザ菌b型(Hib:ヒブ)に対するワクチンを導入した諸外国では細菌性髄膜炎の発症が激減している。わが国は先進諸国の中でワクチンの導入が遅れていたが、最近になって導入されることになった(2008年の予定)。Hibワクチン接種は任意接種で自費負担になるが、普及すれば、乳幼児の重い細菌性髄膜炎が減少することが期待できる。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画