ヘルスケアコラム
くすりの吸収を減少させてしまう牛乳やフルーツジュース

牛乳の影響で作用が強まったり作用時間が短くなることも

牛乳やヨーグルトなどの乳製品はカルシウムを多く含む健康食品として愛飲されている方も多いと思いますが、実はくすりとの飲み合わせが悪い飲み物の1つです。牛乳に多く含まれるカルシウムが消化管の中でくすりと結合し、くすりの吸収を減らしてしまうことがあります。
また、胃への副作用を抑える目的で腸でしか溶けないようにした製剤(腸溶性製剤と言い腸溶錠などがあります)を胃の中で溶かしてしまったり、ゆっくり溶けて長く効くようにした製剤(徐放性製剤と言い、徐放錠や徐放性カプセル剤などがあります)を早く溶かしてしまうこともあります。その結果、くすりの効きが悪くなったり、胃への副作用が強くなったり、あるいは徐放錠が早く溶けることで作用が強くなりすぎたり、作用時間が短くなったりということが起こります。
やはり、くすりを飲むときは水かぬるま湯で飲むのが基本ですので、気をつけましょう。

ニコチンガムを使う人は直前に酸性飲料を飲まないように

オレンジジュースやグレープフルーツジュース、アップルジュースは、アレルギーの治療薬であるフェキソフェナジン(アレグラ)や、心不全の治療薬であるジゴキシンの消化管からの吸収を減少させてくすりの効きを悪くする可能性があります。
また、最近の健康ブームから禁煙を決意してニコチンガム製剤の二コレットを使っている人もいると思いますが、フルーツジュースやコーヒーを飲みながらニコチンガムを噛むとニコチンの体内への吸収が減少して十分な効果が得られないことがあります。酸性の性質を持ついわゆる酸性飲料でこのようなことが起こりますので、フルーツジュースのほか炭酸飲料などにも注意が必要です。ニコチンガムを噛む前30分くらいは、これらの飲料を控えたほうがよいでしょう。

鉄剤を飲む人は濃いお茶や大量のお茶の飲用を控えて

貧血の治療で使用される鉄剤は、昔からお茶と一緒に飲むとその吸収が悪くなるので、お茶との同時、あるいは飲む前後の服用は禁止されることがよくありました。ところが最近の研究結果では、普通の濃さと量のお茶では鉄剤の吸収にそれほど影響がないという報告があります。ですから通常は、鉄剤を飲んでいる人がお茶を飲んでもあまり心配ないと思われますが、濃いお茶や大量にお茶を飲むことは控えたほうがよいでしょう。
また、医師や薬剤師の治療上の判断でお茶を飲まないように言われることもあると思います。そのときはその指示に従ってください。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画