ヘルスケアコラム

鉄(Fe)と貧血 月経による損失が大きいことから女性に多い鉄欠乏性貧血
吸収率がきわめて低く欠乏しやすいミネラル
貧血の主な原因は鉄不足です。これは鉄欠乏性貧血と呼ばれ、女性の発症率は発展途上国を中心に世界的に高いとされています。先進国においても、その発症率が減少することはあってもゼロになることはありません。それは、鉄が吸収されにくいミネラルであり、女性の場合は月経による損失が大きいためで、男性よりも注意して鉄の摂取を心がける必要があります。
貧血予防のためには、いかに効率よく鉄を吸収するかがポイントになります。
「鉄が多く含まれる食品は?」と尋ねられると、「ほうれん草」と答える方が多いでしょう。答えは○ですが、「ほうれん草の中に含まれる鉄の吸収率が良いか」というと、これは?になります。鉄含量の多い食品が必ずしも鉄吸収が良い食品とは限りません(表1、図1)。
貧血予防のためには、いかに効率よく鉄を吸収するかがポイントになります。
「鉄が多く含まれる食品は?」と尋ねられると、「ほうれん草」と答える方が多いでしょう。答えは○ですが、「ほうれん草の中に含まれる鉄の吸収率が良いか」というと、これは?になります。鉄含量の多い食品が必ずしも鉄吸収が良い食品とは限りません(表1、図1)。
性質の異なるヘム鉄と非ヘム鉄に大別
食品中の鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄は赤身の魚肉類に多く、非ヘム鉄は植物性食品および卵など一部の動物性食品にも含まれています。非ヘム鉄は吸収されるときに、いったん溶解され遊離型になる必要がありますが、ヘム鉄はそのまま小腸の細胞に取り込まれるので吸収が良く、同時に摂取する食品因子の影響は受けにくいと言われています。したがって、安定した吸収率を誇るヘム鉄摂取は貧血予防のための重要なポイントになります。ただし、肉類をとりすぎると脂質摂取過多になるリスクも出てきます。
一方、非ヘム鉄は同時に摂取される食品因子の影響を受けやすく、その因子により鉄の吸収は良し悪しのどちらにも傾く可能性があります。ほうれん草などの植物性食品に含まれるフィチン酸、シュウ酸、ポリフェノール、食物繊維などの鉄吸収阻害因子は鉄と非常に溶けにくい難溶解性の複合体(鉄塩)をつくるため、鉄は遊離型になれず、その吸収率は低下します。
一方、非ヘム鉄は同時に摂取される食品因子の影響を受けやすく、その因子により鉄の吸収は良し悪しのどちらにも傾く可能性があります。ほうれん草などの植物性食品に含まれるフィチン酸、シュウ酸、ポリフェノール、食物繊維などの鉄吸収阻害因子は鉄と非常に溶けにくい難溶解性の複合体(鉄塩)をつくるため、鉄は遊離型になれず、その吸収率は低下します。
鉄の吸収を高める食品因子と一緒に摂取すれば効率的
非ヘム鉄の吸収率を高めるには、逆に小腸での鉄の溶解性を促進するような食品因子を同時に摂取します。非ヘム鉄の吸収を促進する食品因子としてはビタミンC、有機酸、ある種のペプチド、アミノ酸などが挙げられます。いずれも小腸での鉄吸収を促進する因子ですが、このほかに大腸からの鉄吸収を促進する因子もあります。これはフラクトオリゴ糖(FOS)に代表される難消化性糖質で、現在ではプレバイオティクスとも呼ばれています。FOSは小腸では消化吸収されずに大腸まで到達し、大腸に存在する腸内細菌に利用され、有機酸になります。そのとき、水素イオン濃度(pH)が低下すると鉄の溶解性がアップし、有機酸とともに大腸粘膜細胞に取り込まれるため、鉄の吸収が促進されると言われています。この因子は小腸からの鉄吸収能が低い人、胃を切除し胃酸による鉄の溶解が阻害されている人などにも有効です。
前述の鉄分を多く含む食品と、ビタミンCを含む新鮮なフルーツや野菜を一緒に食べる(食肉由来のペプチドやアミノ酸〈主に含硫アミノ酸メチオニンなど〉が鉄の吸収を高める)とよいでしょう。カゼインホスホペプチド(CCP)は、腸管からの鉄の取り込みを高めます。
有機酸としては乳酸、クエン酸、リンゴ酸なども不溶性の鉄を溶かす働きがあります。
前述の鉄分を多く含む食品と、ビタミンCを含む新鮮なフルーツや野菜を一緒に食べる(食肉由来のペプチドやアミノ酸〈主に含硫アミノ酸メチオニンなど〉が鉄の吸収を高める)とよいでしょう。カゼインホスホペプチド(CCP)は、腸管からの鉄の取り込みを高めます。
有機酸としては乳酸、クエン酸、リンゴ酸なども不溶性の鉄を溶かす働きがあります。

【引用・参考文献】
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画
総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画