先生の声
シリーズ宮城の地域医療・第2回 ~東北メディカル・メガバンク計画の進捗状況と未来~
 平成30年11月18日、宮城県仙台市内において、宮城県医師会が主催する第7回 宮城県地域医療学会が開催されました。テーマは「東日本大震災から7年半~医療復興の現状と課題~」。ドクターサーチみやぎでは、「先生の声特別レポート」として、東日本大震災から7年半、宮城県内の地域医療に関わる各機関のこれまでの取り組みと、これからについてシリーズでお伝えします。

 シリーズ2回目は「東北メディカル・メガバンク計画の進捗状況と未来」。東北大学大学院医学系研究科前研究科長であり、現東北メディカル・メガバンクの山本雅之機構長による講演の概要です。

東北メディカル・メガバンク計画について

 東日本大震災当時、東北大学大学院医学系研究科研究科長だった山本機構長。大震災から約2週間後、研究関係者たちと、東北地方の発展に資するような創造的復興について、話し合ったそうです。試行錯誤のすえ、未来型医療の新規拠点として、東北メディカル・メガバンクを提案。2011年度の補正予算案件として認められ、2012年2月から事業を開始しました。現在は岩手医科大学も、この事業に協力しています。
 山本機構長らが考える未来型医療とは、一人ひとりに適した医療や予防とのこと。それぞれの身体の設計図であるゲノムを調べて、健康長寿を実現することを目標としています。また、この医療を展開することで産業誘致を行い、東北地方の再興も目指しているそうです。

未来型医療実現のためのバイオバンクとは

バイオバンクとは、人体に由来する試料と情報を匿名化して体系的に収集・保管し、解析するシステムです。東北メディカル・メガバンクでは、580万もの検体の保管が可能とのことでした。さらに、ゲノム解析センターを併設して、収集した情報を他の研究機関に提供する「複合バイオバンク」を実施しています。

東北メディカル・メガバンク計画の進捗状況とゲノム解析センター

 東北メディカル・メガバンクが取り組んでいる計画の一つは「地域住民コホート」と「三世代コホート」の構築です。主に、特定健診や産院に訪れる人に説明し、採血やアンケートなどの健康調査を実施して情報を入手しています。すでに約8万人を超える住民コホートと約7万人を超える三世代コホートのリクルートを達成し、バイオバンクに保管しているそうです。
また、併設するゲノム解析センターでは「ゲノムコホート研究」も行われており、日本人固有と思われる約3,800万個の遺伝子変異を確認できたそうです。さらに日本人のゲノム解析に特化した「ジャポニカアレイ」も開発したとのことでした。山本機構長は最後に、「今後も個別化医療・個別化予防の研究に尽力していきます」と述べられていました。

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第7回 宮城県地域医療学会
東日本大震災から7年半 ~医療復興の現状と課題~
日時:平成30年11月18日(日)
会場:勝山館(宮城県仙台市内)
主催:宮城県医師会
共催:宮城県地域医療協議会
後援:宮城県歯科医師会・宮城県薬剤師会・宮城県看護協会
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執筆者
ドクターサーチみやぎ事務局
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