先生の声
世界緑内障週間

世界緑内障週間とは?

緑内障は日本での失明原因"第一位"で、発見が遅れると治療が難しい病気ですが、ご存知でしたか?
今年も3月10日(日)から16日(土)の1週間、世界緑内障週間が始まります。これは、2008年から世界一斉に行われている緑内障啓発のための国際的イベント。現在では毎年3月上旬の1週間を世界緑内障週間と定め、世界各地で緑内障に関する様々な啓発活動などが行われています。日本では、この期間中に各地の施設などで緑のライトを照らす「ライトアップ in グリーン運動」の取り組みが行われています。多くの人に緑内障のことを知ってもらい、緑内障で視力を失う人が一人でも減るように、また、治療中の患者さんには常に寄り添っていきたいという医療関係者の思いも込められています。
東北大学眼科でも、以下の思いをこめ、緑内障の啓発活動を推進いたします。
  ◯おひとりでも、早期発見の段階で、緑内障にかかっている事に気づきますように。
  ◯治療開始後の継続管理・治療の大切さを理解していただけますように。
  ◯高齢になっても緑内障のために日常生活が制限されませんように。
  ◯私たち眼科医は、いつも皆さんと一緒にありたいと思っています、希望をもって一緒に戦いましょう。

[参考]日本緑内障学会 ライトアップinグリーン運動
http://ryokunaisho.jp/infomation/wgwingreen.html

仙台のライトアップinグリーン運動

東北大学眼科・仙台では2016年から世界緑内障週間に参加しており、様々なところで緑にライトアップしてもらい、年々広がりを見せています。今年は、仙台放送テレビ塔スカイキャンドル、仙台市内の中心商店街、さらに今回は初めて東北大学眼科医局(3号館9階の正面東側)でも、期間中ライトアップが行われる予定。ぜひ、こうした運動を機に、緑内障に関心を持っていただき、定期検査を受けるなど、予防や早期発見を心がけていただきたいと思っています。

期間中、仙台市内の下記の場所において、グリーンライトアップされた様子を是非ご覧ください。
・仙台放送テレビ塔(大年寺山送信所鉄塔)(3/10-16;17:00〜24:00)
・一番町四丁目商店街(定禅寺通りから金蛇水神社間、三越本館3階から対面アーケードへ)(3/10-16;16:30〜23:00)
・一番町一番街商店街(一番街アーケード、一番町スクエアの柱)(3/12-16;16:00〜23:00)
・おおまち商店街(東一番丁・東二番丁のアーケード入口、東二番丁側、アーケード内部のオルガン後部)(3/1-16;日没30分前〜23:00)
・東北大学病院眼科医局(医学部3号館9階の一部)(3/10-16)

緑内障について(早期発見・治療の進歩)

緑内障が日本での失明原因の第1位と聞いて驚く方は多く、あまり知られていないのが現状です。緑内障とは、簡単に言うと、目から脳に情報を伝える視神経が部分的に断線し、断線した場所の視野が徐々にかすみ失明に至ってしまう病気です。残念ながら、現在の医療では障害された視神経を回復する方法はないため、緑内障は一度発症してしまうと治療しても完全には治りません。緑内障は失明に至り、しかも治療できない病気となると、本当に怖い病気のように聞こえます。しかし、早期に発見し点眼治療を開始することで緑内障の進行を抑え、失明の危険を回避することは出来ます。
早期発見が大切なのですが、実は緑内障では、はっきりとした初期症状が現れないことがほとんどなのです。視野の一部でいつも同じところに雲がかかったようなかすみが最初に現れ、徐々にその範囲が拡大していきます。このような症状は非常にゆっくりと進行するために気づきにくいです。また、左右で異なる部位にかすみが出るので、もう片方が視野を補ってしまうために自覚できないことが多いのです。視野の変化に気がついて、病院に来ると、すでにかなり緑内障が進行してしまっています。ですので、自身で病気を自覚することが難しいので、定期的な眼科検診を受けるようにし、症状が軽いうちに発見して治療することが大切です。
緑内障の治療は最近目覚ましく発展しており、点眼薬で眼圧を下降させることが主な治療方法となります。一度障害されてしまった視神経が回復することはないので、緑内障の治療は「症状の進行を防ぐ」こととなります。点眼薬で眼圧が十分に下がらない場合には、レーザー療法や手術を検討します。点眼薬は使用している時しか効果がないので、処方された薬を正しく服用し続けることと、定期的に進行がないか検査を受けることが大変重要になります。
執筆者
東北大学病院眼科
中澤 徹 先生
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