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先生の声
新型コロナウイルスに対する心掛け
2020年2月14日と2月21日に、公益財団法人 仙台市医療センター 仙台オープン病院の副院長/呼吸器内科主任部長 飯島秀弥先生に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」に関して、お伺いしました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状と対応

- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は、どのような特徴がありますか?

 主症状は熱と咳で、COVID-19に特有なものはありません。また必ずしも高い熱が出るわけではありません。 肺炎まで進展すると、呼吸が荒くなる、息苦しくなる、呼吸困難といった症状が出てきますが、これも他の病原性微生物による肺炎と同じです。症状だけからCOVID-19と判断するのは難しいと思います。

- 私たちは、いつ病院に行けばいいですか?

 熱と咳があっても、疑い例を含めCOVID-19患者との濃厚な接触歴がなければ、原則、一般医療機関で通常診療を受けることになります。濃厚な接触歴がある、あるいは無くとも医師がCOVID-19を疑った時には、ウイルス検査を行います。ただ、検査で陽性となっても特別な治療が受けられるわけではありません。 コロナウイルスに対する治療薬がないからです。

 検査の目的は、個人を守るためのものではなく、地域社会を守るために行われます。 感染が分かれば感染経路を調べることができ、感染経路が特定できれば、同様の経路での次の感染を防ぐことができます。また感染者からの二次感染も防げます。 そうしたことで県内に入ってくる感染の勢いを抑えようというのがこの検査の目的です。

  感染患者が少しずつ増えていくのであれば、医療機関ではきめ細やかな治療ができ、患者さんの重症化を抑制できます。感染から回復した人達は免疫を獲得しているので、次の感染者のケアに回ることができ、さらに地域社会における感染拡大の障壁となってくれることから、感染患者増加速度を抑えることができます。一気に感染患者が増えれば、マンパワー不足で対応が遅れ、重症化する患者数や医療従事者への感染も増えてくることが懸念されます。
 
  検査対象者は、37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状があり、発症前14日以内にWHOの公表内容からCOVID-19の流行が確認されている地域に渡航または居住していた人、あるいはそういった人と濃厚接触歴がある人とされていましたが、国内感染状況を鑑み、2月17日からは、発熱かつ呼吸器症状があり入院を要する肺炎が疑われる患者や、医師の総合的判断でCOVID-19を疑った場合も検査対象となりました。
 
  濃厚接触とは、同居あるいは車内・航空機等での長時間の接触や、診察・看護もしくは介護、痰などの体液に直接触れた場合などを言います。
 
  市民向けには、COVID-19疑い患者との接触歴が無くても、風邪症状や37.5℃以上の発熱が4日以上(高齢者や基礎疾患等を有する人は2日程度)続くか、強いだるさや息苦しさがある場合、一般電話相談窓口(コールセンター)に連絡するよう広報されました。

 疑い例に該当すると判断されれば、区役所の帰国者・接触者相談センターに連絡され、そこで受診先が指定されると、その医療機関に連絡が入ります。患者は指定された医療機関に、受診前に必ず連絡し、受診する時刻および入口等について問い合わせるよう指導されます。
これにより医療機関は感染予防体制を整えて患者を受け入れることが出来ます。
 
 COVID-19疑いがある方がコールセンターに連絡せず直接医療機関を受診することは、くれぐれも謹んで頂きたいと思います。また、一般医療機関でCOVID-19疑いの患者さんを診た時には、担当医が帰国者・接触者相談センターに連絡します。
 
 なお、県内でCOVID-19患者が発生し、接触歴が疫学調査で追えなくなった状況になれば、帰国者・接触者相談センターは廃止され、感染拡大防止から被害軽減へ方針が転換されます。
 

感染期について

- どのくらいで「国内感染期」は来ますか?

 2月中旬以降、国内では経路を追えない感染事例が相次いで報告されていることから、既に国内感染期に入っていると思います。ただ宮城県では県内未発生期にあります。県内発生が起れば1〜2ヶ月で県内感染早期から県内感染期に移行するのではないかと思いますが、皆さんが、インフルエンザ対策で培った知識と経験をもとに、咳エチケットや手洗いなどの感染予防対策をしっかりとすれば、被害は抑えられると思います。

- どのような方が特に気を付けるべきでしょうか?

 高齢者や妊婦、糖尿病・心不全・慢性呼吸器疾患を有する患者、透析患者、免疫抑制剤や抗がん剤などを投与されている患者さんは重症化しやすいので注意が必要です。

現在行うことができる検査

- 実際に現在行うことが出来る検査は、どのようなものでしょうか?

 まず、他の病原性微生物による感染症の可能性を調べます。 インフルエンザウイルス、溶連菌、レジオネラ、肺炎球菌、マイコプラズマ、アデノウイルスについては迅速診断キットがあります。

 これらが陰性の場合に、痰ないし気道吸引液、咽頭拭い液、および血液を採取し、保健所を通じて市の衛生研究所に搬送し、PCRという核酸増幅法で検査してもらいます。また、COVID-19以外の一般的な呼吸器感染症の病原体検査で陽性となった者でも、その治療への反応が乏しい場合、医師の総合的判断でCOVID-19を疑えば検査対象となります。

- 結果は、どのくらいで出るのでしょうか?

 衛生研究所に検体が到着してから約4時間で結果が出ますが、再検査に回ると更に時間がかかります。一度に処理可能な検体数には限りがありますので、『なんとなく心配だから』の検体が殺到すると、本当に必要な人の検査が遅れてしまうことになります。

最後に

- 私たちにできることは、どんなことでしょうか?

 「もらわない、うつさない」ことです。

 一番大事なのは恐らく手洗いです。飛沫を直接多量に浴びれば感染しますが、ふわふわと漂ったものを吸い込んだだけでは侵入するウイルス量は少ないはずです。
鼻をかんだり痰をとった手には多量のウイルスが付いており、その手でドアノブなどに触り、それを別の人が触って、自分の目とか鼻とか口にもっていくと感染します。
環境中のインフルエンザウイルスは1日程度で感染力を失いますが、コロナウイルスは2日程度感染力を保つそうです。 そのため、むやみに様々なモノを触らないように心掛けてください。
手洗いは、流水と石鹸では30秒以上時間をかけないと十分な効果が得られません。幸いコロナウイルスはアルコールで死滅しますので、短時間で有効なアルコール手指消毒剤が推奨されています。

- それでは最後に、医師として皆さまにお伝えしたいことはありますか?

  怖がりすぎず、軽んじず、冷静に行動していただきたい。
昔と違って、今はインターネット等で最新の情報を得ることができます。情報の共有が今回のような感染症を制する大きな力となります。ただ、信頼できる発信元からの情報のみを参考にしていただければと思います。

  取材日:2020年2月14日、2020年2月21日
執筆者
ドクターサーチみやぎ事務局(2020年2月14日、2月21日取材)
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