先生の声
世界緑内障週間

日本人の失明原因

 現在日本人の中途失明原因の1位は緑内障です。

 かつては、糖尿病網膜症が1位でしたが、糖尿病の知名度の向上、健診の徹底、治療薬の発展などで糖尿病のコントロールが良くなってきたことで、順位が入れ替わりました。それに比べ、緑内障は、加齢により有病率が高くなるので、超高齢社会において深刻な問題になる可能性があります。

  そんな中、医学や検査機器の発展で、緑内障の診断精度が向上し、今や日本人の40歳以上の20人に1人が緑内障であることが分かってきました。しかし、その認知度が低いのが現状です。

緑内障とは

 そもそも緑内障とは何でしょう。

 眼からの情報を脳に送るケーブルである視神経が徐々に減少していく疾患で、視野が狭くなっていく病気です。視力(物を細かく見る力)は維持されることが多いため、自覚症状に乏しく、見えにくさを感じた時(視力が低下した時)にはかなり進行している可能性があります。

 目薬や手術により進行を緩やかにすることはできるものの、現在の医学でも失われた神経を再生させることは難しいため、早期に発見し、早期に治療することでいかに視野を守れるかが重要となります。

[画像出典]:ノバルティス ファーマ株式会社 緑内障パンフレット 2019年より

啓発活動(世界緑内障週間:2021年3月7日~3月13日)

 緑内障は患者さんには自覚しづらい病気のため、進行し生活に支障がでてから受診することが多いのが実情です。進行してから治療しても回復は難しいため、早期発見・早期治療が一番大切になります。よって、我々眼科医は、緑内障の存在をより多くの人に知ってもらおうと啓発活動を行ってきました。

 世界的にもこの流れがあり、世界緑内障週間という国際的な啓発運動期間が毎年開催され、日本ではライトアップinグリーン運動が行われています。これは2015年から始まった運動で、全国の公共機関や医療機関などをグリーンでライトアップするものです。2015年は全国で5カ所でしたが、2019年は約150カ所の施設で、昨年は278カ所と年々増え続けています。

本年も、宮城県では中核病院、クリニック、薬局、眼科関連企業、商店街でライトアップする予定です。

この活動をもっと知りたい方・緑内障市民公開講座を視聴されたい方

▼ライトアップinグリーン運動▼
活動紹介はコチラから

▼オンライン緑内障市民公開講座(配信:2021年3月7日10時~3月20日17時)▼
視聴はコチラから
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視聴用ID:gfn / パスワード:0307
執筆者
東北大学病院眼科
中澤 徹 先生
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