先生の声
子どもの肥満を予防する食育

東北大学 三浦先生インタビュー

東日本大震災から10年。 子どもの肥満を予防する食育について、東北大学病院 小児科 三浦啓暢 先生にインタビューしました。


取材日:2021年1月5日
※ウイルス感染予防に配慮して取材しております。

下記にインタビューの内容をテキスト化しております。
動画が見難い場合は、下記のテキスト版でご覧ください。

子どもの肥満を防ぐ食習慣は?

 子どもの1日に必要なエネルギーは、凡そ1~2歳では、男の子で950キロカロリー/女の子では900キロカロリー。3~5歳では男の子で1300キロカロリー/女の子で1250キロカロリーと言われています。
 子どもは空腹のサインだけでなく「満腹のサイン」を出しますので、そのサインを見逃さずに適切に食べさせてあげることが大切になります。満腹後も無理に食べさせることはお子さんによって苦痛であり、カロリーの摂り過ぎで肥満の原因になってしまいます。
 適切に空腹と満腹のパターンを感じるとダラダラ食いや食べ過ぎを防ぐことができます。

適切な食事量は?

 小さいお子さんは一回の食事で食べられる量に限界やムラがあります。
 3回の食事では必要なエネルギーは取りきれません。おやつを食事の一部と考えて不足する栄養分を補ってあげてください。
 おやつの時間は、楽しさや喜びを感じ、親子や兄弟で共有できる大事な時間でもあるため、お子さんの発達にも重要になります。

おやつの食べさせ方は?

 1日1~2回、決まった時間にあげましょう。
 不規則に何回もあげると「食事の際に空腹にならないため食事をしっかり取らず、また空腹となり間食を食べたがる」といった間食中心の食生活になります。また、虫歯にもなりやすくなります。
 夜食は就寝時間が遅くなり、朝食の意欲が削がれることで、朝ごはんを食べないといった生活リズムの乱れの原因になります。 お菓子だけでなく乳製品やお芋、炭水化物、フルーツも組み合わせましょう。市販品は、できるだけ幼児用のモノを選んであげましょう。

 1~2歳の頃は、1回目のおやつは麦茶とビスケット5枚程度、2回目は牛乳100cc とバナナ半分程度が目安となります。3歳~5歳の頃は、1回目のおやつは牛乳100cc とビスケット5枚、2回目は牛乳100cc とバナナ一本程度が目安となります。

 なお、麦茶はカロリーがないため摂取量の制限はありません。夏場など汗をかく時期、牛乳100cc で足りない時には麦茶で水分量を調節してください。

食事で肥満の原因になることは?

 食べ過ぎだけでなく様々な原因があります。

 1つ目は「早食い」です。
 よく噛まないため満足感が得られにくく、たくさんの量を食べてしまいます。
 それによって胃が大きくなり、よりたくさん食べないと満足感が得られなくなってしまいます。小さいお子さんでは、味噌汁やお水で流し込む食べ方は早食いのサインですので気を付けてあげましょう。

 2つ目は「朝ごはんを食べない」ことです。
 朝食分のエネルギーが減って痩せるわけではありません。
 基礎代謝の低下、筋肉をエネルギーに利用することで筋肉量の減少、そしてエネルギーを蓄えるために余計に脂肪がついてしまいます。朝ごはんを食べない人は、朝ごはんを食べる人よりも「肥満のリスクは5倍以上になる」と言われています。

 3つ目は「夜食を食べる」ことです。
 約1/3のお子さんが夜食を取っているとされています。仕事や塾から帰って来たご両親や兄弟と一緒に食べることが多いようです。
 夜食は、翌日の朝ごはんを食べない原因になりますし、体内リズムが崩れることで肥満になりやすく、また発達や学習面にも影響する可能性があります。家族と一緒に食べる喜びや楽しさも大切なので、もし夜食を食べる際には「消化の良いものを少量だけ」など、工夫して食べさせてあげてください。

 そして「好き嫌い」も原因となります。
 食の好みは、2歳未満の食事によって決まってきます。そのため、小さい頃からの食生活が大事になります。特に野菜嫌いは離乳食の頃から野菜に慣れ親しんでおくことが重要になります。 最初は嫌がるかもしれませんが徐々に食べるようになってきます。好みの食べ物と組み合わせて少量から食べさせることや、ご家族が美味しそうに食べて見せる工夫なども大事になります。
 大きくなってから好き嫌いを治すことは、とても大変なので、特に2歳頃までにバランスの良い食事をさせてあげることを心がけてあげてください。

 最後に「イオン飲料」です。
 ジュースと同じぐらいに砂糖が入っています。イオン飲料は普段飲む必要は全くありません。飲み過ぎはビタミン不足で具合が悪くなる危険もあります。発熱や胃腸炎の時など食事が十分に取れない時の代わりとしては良いでしょう。ただし、赤ちゃんであればそのような場合も母乳やミルクで十分です。
 一見、お子さんの健康に良さそうですが、飲み過ぎは逆効果となりますので注意が必要です。

最後に

 必要なエネルギーや栄養は個人差があります。ただし、食育を頑張りすぎると、お子さん本人だけでなくご家族にも負担ストレスとなります。
 今回お伝えした内容はあくまで目安となりますので、それぞれのご家庭の状況に合わせた食育を心がけてあげてください。

「親子で学ぶ、ヘルスケア~これからの10年に私たちができること~」

 来たる2021年3月11日で東日本大震災から10年を迎えます。
 そこで減災情報の風化を防ぐため、また新型コロナウイルス感染症の流行による健康情報伝達の不足を懸念し、次世代を担う子供たちを持つ両親・家族を対象に、「親子で学ぶ、ヘルスケア~これからの10年に私たちができること~」をタイトルとした啓発キャンペーンを実施いたします。

 このキャンペーンは、東北大学病院、東北大学東北メディカル・メガバンク機構、仙台市医師会、仙台放送の共同事業として、2020年12月より宮城県内で各種プログラムを展開いたします。

おすすめ関連記事

「子どもの肥満 ~なぜ悪い? どうすれば?~」 菅野 潤子先生、三浦 啓暢先生、鈴木 智尚先生 記事はコチラから

「親子で学ぶ、ヘルスケア」インタビュー 呉 繁夫先生
記事はコチラから

「親子で学ぶ、ヘルスケア」インタビュー 安藤健二郎先生
記事はコチラから

「親子で学ぶ、災害時の感染症対策」 児玉栄一先生
記事はコチラから

「子どものお口の健康 ~虫歯編~」山田 亜矢 先生
記事はコチラから

「子どものお口の健康 ~お口の発達編~」山田 亜矢 先生
記事はコチラから

「子どもの発達と絵本の読み聞かせ」土谷 真央 公認心理師
記事はコチラから

「子どもの発達とお手伝い」土谷 真央 公認心理師
記事はコチラから

「生まれてからの1年間にパパ、ママにやってほしいこと」植松 有里佳 先生 記事はコチラから

「子どもの発達とメディア視聴」植松 有里佳 先生 記事はコチラから
執筆者
東北大学病院 小児科
菅野 潤子先生、三浦 啓暢先生、鈴木 智尚先生
医療施設情報