先生の声
子どもの眼の病気とメディア視聴

仙台医療センター 藤岡先生インタビュー

 東日本大震災から10年。
 仙台医療センター眼科医師 藤岡 俊亮 先生に、昨今のメディア視聴環境と「子どもの眼の病気」の関係について伺いました。


取材日:2021年2月19日
※ウイルス感染予防に配慮して取材しております。

下記にインタビューの内容をテキスト化しております。
動画が見難い場合は、下記のテキスト版でご覧ください。

この10年で増えた 子どもの眼の健康相談は

 近視とともに最近「急性内斜視」という病気に関する相談が増えています。
 急性内斜視というのは、目が寄り目の状態になったまま戻らなくなってしまう病気です。両目で見た時に物が二重に見えてしまうなどの症状があります。

急性内斜視の原因や子どもへの影響は

 突然発症する、はっきりとした原因はわかっていませんが、スマートフォンや携帯ゲーム機などのデジタルデバイスとの関連が全国的に調査されているところです。
 子どもがスマホの画面を長時間、近距離で使用することで内斜視になりやすいのではないかと考えられています。特に、子どもでは過剰な寄り目が引き起こされやすく、急性内斜視は発症しやすいと考えられています。
 症状が出てからスマホやゲームの時間を制限しても完全に治ることは少なく、症状によっては特殊なメガネや手術することもあります。
 スマホやゲーム機を長時間使用したり、画面が近すぎたり、横になった姿勢で使うことが多い子供は急性内斜視を発症しやすいと言われていますので、注意していく必要があると思います。

 物が二重に見える、ダブって見えてしまうというのが主な症状になります。
 物が常に二重に見えてしまうというのは、かなり不快な症状になりますので大きな影響があると思います。二重に見える人は自転車乗ることも難しくなりますし、階段の段差が分からないかなくなって、降りることが怖いと感じてしまうことにもつながります。
 もちろん、黒板を見ても二重に見えてしまうので勉強にも大きな影響を与えてしまうと思いますし、球技をする際にもボールが二つに見えて取ることが難しくなり、危険を伴うことになると思います。

子どもの眼の健康のために家庭で気をつけることは

 スマホやゲームに関して、親子で使用する際のルール作りをすることが良いと思います。 基準としては、小学生以下は1時間まで、中学生以上は2時間までが1日の使用時間の目安となります。
 長時間使い続けると、目が疲れてしまいますから30分に1回は休憩を入れて、30秒程度は遠くを見るようにしましょう。
 寄り目を防ぐために、デバイスと目の距離は30 cm 以上離して使用するように意識してください。ゲームは可能であればテレビなどの大きな画面に映して使用するのが良いと思います。

 デジタルデバイスは生活から切っても切り離せない物と思いますので、使用時間・使用距離などを正しく守っていただいて、特に近視や斜視になりやすい学童期のお子さん方では親子でルールを決めて、使い過ぎに注意して上手に付き合っていくことが大切だと思います。
 子どもの視力を守ることは、子どもの将来の財産になると思います。ご両親や家族が注意してあげることは大事なことだと思います。急性内斜視を完全に自然治癒することは、デジタルデバイスの使用時間を制限したとしても治らなかったという方がかなり多いので、最初に「発症させない」ということが一番大事になると思います。

 子どもは、まだ眼の成長中のため、視力だけでなく、目の位置(眼位)も大人に比べると少し不安定なところがあるので、その時期にデジタルデバイスを正しく使って、内斜視等の病気を発症しないようにすることは非常に大切です。

最後に

 近視や急性内斜視のように、子どもに増えていることもありますが、アレルギー性結膜炎やドライアイも患者さんが増えています。特にドライアイはデジタルデバイスの使用中に、まばたきの回数が減ってしまうことによる影響があるというデータもあります。
 デジタルデバイスによる眼の病気が増えている傾向がありますし、今後も増えることが予想されますので、目が疲れやすくなった等の気になる症状があった場合は、近隣の眼科に相談していただければと思います。

「親子で学ぶ、ヘルスケア~これからの10年に私たちができること~」

 2021年3月11日で東日本大震災から10年を迎えました。
 そこで減災情報の風化を防ぐため、また新型コロナウイルス感染症の流行による健康情報伝達の不足を懸念し、次世代を担う子供たちを持つ両親・家族を対象に、「親子で学ぶ、ヘルスケア~これからの10年に私たちができること~」をタイトルとした啓発キャンペーンを実施いたします。

 このキャンペーンは、東北大学病院、東北大学東北メディカル・メガバンク機構、仙台市医師会、仙台放送の共同事業として、2020年12月より宮城県内で各種プログラムを展開いたします。

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執筆者
仙台医療センター眼科医師
藤岡 俊亮 先生
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